2014年05月20日

かたつむりの名句 <小林一茶>


梅雨の季節が間近に迫ってまいりました…… というわけで……

3回にわたって、雨の季節につきものの「蛙」が 
 登場する俳句を、小林一茶の作品の中から
  紹介してまいりました。  (→@ A B



しかし、雨の季節に似合うのは、蛙だけではありません!

そこで、今回は、「かたつむり」の登場する俳句を
 同じく、小林一茶の作品の中から、拾っていきましょう!




■足元へいつ来(きた)りしよ蝸牛(かたつぶり)

一茶らしい、とてもゆる〜くて、やさしい感じの句だと思いませんか?

この句は病気の父が少し快方に向かった時の句なのだそうです。

それまで父のことが心配で、気が気ではなかったのですが、
やっと具合がよくなってきて…… 心に余裕も出てきて……

ふと、気づくと、足元にかたつむりがいた。

いつ来たんだい。」
「あんなに歩みがゆっくりなお前が近づいてきてたことも
 全然気づかなかったよ」

そんな心の動きを読みとった方がよいのかもしれません。

しかし、同年、願い空しく一茶の父は帰らぬ人となります。



■石原や照(てり)つけらるゝ蝸牛(かたつぶり)

夏の日差しに照りつけられているかたつむり。
辛そうに見えたのでしょうか?



■朝やけがよろこばしいか蝸牛(かたつぶり)

今度は、朝焼けを受けて輝くかたつむり
美しく、喜んでいるように見えたという句のように思えますね。

夕やけが〜」としているバージョンもあるようで、
それも良いですよね。

夕焼けは、暑い1日の終わり涼しげな夜の到来
意味するものでもありますし……

クーラーのない江戸時代、夜の冷気を嬉しく思うのは
現代以上だったのではないでしょうか?



■山艸(やまくさ)に目をはぢかれな蝸牛(かたつぶり)

かたつむりは目が飛び出ていますからね。

いかにもとかに目を突っつかれたり、はじかれたりしそうです。

それを心配そうに見つめている一茶の視線がやさしいですね。



■何事の一分別(ひとふんべつ)ぞ蝸牛(かたつぶり)

「分別」とは「善悪などを判断する、考えること」。
「分別ざかり」とかいいますよね。

これまでゆっくり歩いていたかたつむりが、ふいに止まって…… 
その姿が何か考え事をしているようにでも見えたのでしょうか?



■蝸牛(かたつぶり)見よ見よおのが影ぼふし

かたつむりに自分の影を見よという一茶。
実は、かたつむりに自分を投影しているようにも感じます。

語釈は難しくないのですが、意味はいろいろと考えられちゃいますね。



■でゝ虫の捨家(すていえ)いくつ秋の風

他がすべて蝸牛(かたつぶり)ですが、
この句は「ででむし」となっておりますね。

夏にあれだけたくさんいたかたつむりの姿が見えなくなって
抜け殻がいくつもある……
秋が来たようですね。

しみじみとした秋を味わうのか?
でんでんむしの捨て家という表現におかしみを求めるのか?
読む人なりの味わい方があって良いかと思います。



近々訪れる梅雨にちなみ、
雨に似合いの小動物を詠んだ小林一茶の特集いかがでしたか?

予想を超えて、4回も続けてしまいましたが、今回で一応、終わりにします。

もし興味があったら、過去の記事などもご覧くださいね。

蛙の名句 <小林一茶>
蛙の名句 <小林一茶>A
蛙の名句 <小林一茶>B

小林一茶、その生涯と名句@
小林一茶、その生涯と名句A
小林一茶、その生涯と名句B
小林一茶、その生涯と名句C
小林一茶、その生涯と名句D

梅雨時の名歌・名句<五月雨>
季節の和歌(梅雨)【古今集】



(このブログの目次はこちら



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posted by 慈文字心 at 14:23| Comment(0) | 古文(日本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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