2014年02月16日

『八重の桜』と『不如帰』


大河ドラマ『八重の桜』はご覧になりましたか?
 



最終回(だったかな?)で、太賀さん演じる徳富蘆花(とくとみろか)が
原稿用紙に『不如帰(ほととぎす)』と記していました。


この小説『不如帰』は、実はそれ以外にも
『八重の桜』と深〜い関係がある小説です。




主人公「浪子(なみこ)」のモデルとなったのが、
大山巌(いわお)元帥の娘、信子です。

大山巌は反町隆史がかなりカッコよく演じていました。


なお、大山巌の娘とはいいながら、
水原希子が演じた捨松(すてまつ)」の娘ではありません

捨松さんは大山巌の後妻で、ホトトギスの主人公のモデルとなったのは、先妻の子どもなのです。


とはいえ、捨松さんをモデルにしたと思われる、
主人公の継母が『不如帰』には登場します。

その「継母」に関する記述を『不如帰』の中から引用してみましょう。

「今の母はやはりれっきとした士(さむらい)の家から来たりしなれど、
早くより英国に留学して、男まさりの上に西洋風の染(し)みしなれば、
何事も先とは打って変わりて、すべて先の母の名残と覚ゆるをば
さながら打ち消すように片端より改めぬ。」

あれあれ、あまり良い書かれ方ではないですね。


これだけでなく、小説の中では、この継母が、
主人公に辛く当たっている場面があったがために、
それがモデルとなった捨松さんの実像だと誤解され、
かなり厳しい風評被害を受けたようなのです。

実際には、病身だった先妻の子に、優しく対処したとされる
捨松さんでしたが、大ヒット小説に悪者役で登場したために、
苦労してしまったのだそうです。



さて、このブログを書くに当たって、久しぶりに「岩波文庫」を
手にしてみたのですが、そこで一つ発見してしまいました。


あとがき」を徳富蘆花の奥さんが書かれているのですが、
その中に「山川双葉(ふたば)」の文字を発見しました!

『八重の桜』では市川実日子さんが演じていました。
捨松さんの実の姉ですね。

この双葉さんの案内で、大山巌邸を訪れたという一幕を
「あとがき」で披露されております。



さて、『八重の桜』を離れて、『不如帰』の内容ですが……




陸軍中将子爵、片岡毅の令嬢「浪子」は、海軍少尉、川島武男と結ばれ、
幸せな結婚生活を送る……かと思われたのですが……

敵役、千々岩(ちぢわ)安彦登場。
結核、発病
姑、継母らによる冷遇

などにより「浪子」は、
「ああつらい! つらい! もう――もう婦人(おんな)なんぞに――生まれはしませんよ。――あああ!」
と身悶えするようになってしまうのです。


「不治の病」「嫁・姑の争い」などというと、少し前の
メロドラマとかホームドラマみたいと思う人がいるかもしれません。

そう思ってもよいかもしれません。
意外とストーリーは、読みやすい気がします。


文体は文語調なので、慣れない人は少々手こずるかもしれません。

冒頭部を引用してみましょう。

上州(じょうしゅう)伊香保(いかほ)千明(ちぎら)の三階の障子開きて、
夕景色をながむる婦人。年は十八九。品よき丸髷(まげ)に結いて、
草色の紐つけし小紋縮緬(こもんちりめん)の被布(ひふ)を着たり。


続けて、浪子さんの姿を形容した名調子も引用しましょう。

これや北風(ほくふう)に一輪勁(つよ)きを誇る梅花にあらず、
また霞の春に胡蝶(こちょう)と化けて飛ぶ桜の花にもあらで、
夏の夕やみにほのかににおう月見草、と品定めもしつべき婦人。


いかがでしょうか?
慣れれば、それほど読みにくくはないと思います。

また「おやどういたしましょう。また口がすべって、おほほほほ。
なんて調子の会話文も多いので、それほどは読みづらくないと思います。


明治のベストセラーに一度、触れてみてはいかがでしょうか?



なお、タイトルの『不如帰』をなんと読むのか、という問題があります。

初めて新聞に掲載されたとき「ほととぎす」とふりがながついていたので、
以来、その呼び名が浸透しています。

しかし、岩波文庫版にもついておりますが、百版の記念に記された
徳富蘆花自身による序文には「不如帰」に「ふじょき」のふりがなが
ついており、本来、作者である蘆花は「ふじょき」のつもりだったのかもしれません。

ただ、既に浸透している名前でもありますので、
本ブログでも「ほととぎす」として、ご紹介させていただきました。



(このブログの目次はこちら


岩波文庫版、私が持っているものから改版がされたようです。
 以下の本は、「あとがき」「序文」が、上記で記したものと同じなのか
 確認とれておりませんので、ご了承ください。
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posted by 慈文字心 at 17:28| Comment(0) | 近現代文(日本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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